「はい、ラストー!」が聞こえてからの30分間、あなたは何を考えていますか?
マーチングバンドに所属している、あるいは所属していた皆さん、こんにちは!
20年以上、来る日も来る日も重たい楽器を担ぎ、炎天下のアスファルトや蒸し風呂のような体育館で歩き続けてきた、自称「マーチング界の頼れる先輩」です(笑)
さて、今日は全マーチングプレイヤーが一度は(いや、数百回は)心の中で叫んだことがあるであろう、あのテーマについて語ります。
「ラスト1回」って言ったじゃん!!全然終わらないじゃん!!
これです。これにつきますよね?
練習の終盤、疲労もピークに達した頃に指導者から放たれる「はい、次ラストー!集中していこう!」という言葉。
その言葉を信じて、残りの体力を全て振り絞って渾身の演奏・演技をしたのに、「はい、今の惜しい!もう一回!」と平然と返されるあの絶望感…。
ぶっちゃけ、詐欺ですよね?(笑)
一般社会で「あと1分で終わります」って言って30分拘束したら大問題ですが、なぜかマーチングの世界ではこれがまかり通ってしまうんです。
今回は、20年以上この業界にどっぷり浸かり、プレイヤーとしても指導者としても「ラスト1回」に関わってきた僕が、なぜこの現象が起きるのかという裏事情と、そんな理不尽な状況でも心を折らずに生き抜くためのメンタル術を、本音全開で解説していきます。
身も蓋もない話も飛び出しますが、最後までお付き合いくださいね♪
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永遠の謎。「ラスト1回」が「ラスト」じゃない理由をぶっちゃけます
まず最初に、敵(?)を知ることから始めましょう。
なぜ指導者たちは、終わる気もないのに「ラスト」と言うのか。
僕も長年プレイヤーとして「嘘つき!」と思ってきましたが、いざ自分が指導する側に回ってみて、初めて気づいた「痛い本音」があるんです。
指導者の脳内メーカー:彼らにとっての「ラスト」の定義とは?
ズバリ言いますね。
指導者が言う「ラスト」は、「時間的な最後」ではなく「条件付きの最後」なんです。
どういうことかというと、プレイヤーである皆さんは「ラスト」=「あと1回やったら練習終了(帰れる)」と解釈しますよね?これは当然です。
しかし、指導者の脳内では「(完璧に成功したら)ラスト」という、カッコ書きの条件が含まれているんですよ。
これ、20年やってて確信したんですが、指導者自身も嘘をつこうと思って言ってるわけじゃないんです(タチが悪いですが…笑)。
その瞬間は本気で「次でバシッと決めて、気持ちよく終わろう!」と思っているんです。
でも、いざ通してみると、ラインがズレていたり、アタック(音の出だし)が揃っていなかったりする。
そうすると、指導者の完璧主義スイッチが入っちゃうんですよね。
「あー、今のはノーカン!今のクオリティで終わるのは気持ち悪いから、成功するまでがラスト!」
これが、あの終わらないループの正体です。
つまり、彼らの辞書にある「ラスト」は、「成功するまで帰れません」と同義語だと思っておいた方が、精神衛生上良いかもしれませんね。
「あともう少しで完璧!」という欲が暴走する瞬間
マーチングって、集団芸術じゃないですか。
全員の足並みが揃い、音が塊になって飛んでくるあの瞬間、鳥肌が立ちますよね。
指導者は、練習の最後にその「奇跡の一回」を見たいという欲求がものすごく強い生き物なんです。
例えば、コンテ(動きの指示書・フォーメーション図)の最後、全員でカンパニーフロント(横一列に並んで前進する見せ場)を作るシーンがあったとします。
ここが決まれば最高にカッコいい。
でも、誰か一人が半歩ズレているだけで台無しになる。
指導者は高いところから見ているので、そのズレが気になって仕方がないんです。
「あとちょっと!あと一人が意識すれば完璧になる!」
そう思うと、もう止まりません。
「今の良かったけど、もっといける!もう一回!」という、悪魔の言葉が出てしまうわけです。
僕の経験的にも、指導者が熱くなっている時ほど「ラスト」は信用できません(笑)
彼らは目の前の「完成形」というニンジンを追いかける馬のようになっていて、皆さんの体力が限界に近いことなんて、すっかり頭から抜け落ちていることが多いんです。
集団心理の罠。「もう一回」と言わざるを得ない空気感
これ、意外とあるあるなんですが、指導者だけでなく、バンド全体の空気が「ラスト」を終わらせないこともあります。
例えば、強豪校や意識の高い一般バンドだと、セクションリーダー(パートごとのリーダー)やドラムメジャーが、
「先生はOKって言ったけど、自分たち的には納得いかないんで、もう一本お願いします!」
なんて言い出すこと、ありませんか?
これを聞いた時の、一般メンバーの「えっ…(絶望)」という空気感、僕は何度も味わってきました(笑)
でも、こうなるともう誰も「いや、疲れたんで帰ります」とは言えません。
日本のマーチング界特有の「苦労=美徳」「納得いくまでやる=正義」という文化が、ラスト1回を無限ループさせる燃料になっている側面も否定できないんですよね。
正直、20年やっててもこの空気感だけは慣れませんが、「みんなで作り上げる」というマーチングの本質が、良くも悪くも作用している瞬間だと言えます。
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20年浴び続けてわかった!「終わらないラスト」に心を折られないメンタル術
さて、理由がわかったところで、現実は変わりません。
明日も明後日も、きっと「ラスト詐欺」は発生します。
では、僕たちプレイヤーはどうやってその理不尽な時間を乗り越えればいいのか?
長年の経験から編み出した、実践的なメンタル防衛術を伝授します。
期待値を下げる技術。「ラスト」は「休憩前の合図」程度に捉えよう
一番ダメージが大きいのは、「これで終わる!」と期待して全力を出し切ったのに、裏切られた時ですよね。
メンタルがやられる原因は、この「期待と現実のギャップ」にあります。
なので、僕は現役時代、ある時期から悟りを開きました。
指導者の「ラスト」という言葉を、「とりあえず今の区切りの一回」程度に脳内変換するんです。
「はい、ラストー!」と聞こえたら、心の中でこう唱えてください。
『おっ、そろそろ練習の終盤戦に入った合図だな。あと3〜5回はやることになるだろうから、そのつもりでペース配分しよう』と。
これ、決して手を抜けと言っているわけではありません。
「これで終わりだ」と思ってアクセルをベタ踏みしてガス欠になるより、「まだ続く」と想定して冷静に集中力を維持する方が、結果的に良いパフォーマンスが出せるんです。
「終わったらラッキー♪」くらいの軽い気持ちで構えておくのが、メンタル崩壊を防ぐ第一歩ですよ。
思考停止のススメ。無心でコンテをなぞる境地
何度も同じ箇所をやり直しさせられていると、「なんで?さっきので良かったじゃん」「もう足が痛いよ」という雑念が湧いてきますよね。
人間だもの、当然です。
でも、この「感情」が一番の敵なんです。
イライラすると、筋肉が硬直します。
マーチングにおいて、身体の無駄な力みは致命的です。
5m8歩(5メートルを8歩で歩く基本動作)の歩幅が乱れたり、管楽器ならブレスが浅くなったり、打楽器ならリズムが走ったりします。
その結果ミスが出て、さらに「もう一回!」と言われる悪循環…。
そんな時、僕は「感情スイッチ」をオフにすることをおすすめします。
怒りも悲しみも捨てて、ただひたすらに「ポイント(立ち位置)に到達すること」と「テンポに合わせること」だけに集中する。
機械になったつもりで、淡々とタスクをこなすんです。
「私はマーチングロボット…指示通りに動くだけ…」
これ、冗談みたいですが結構効果あります(笑)
感情を排してプレイに没頭すると、不思議と「ゾーン」に入ったような感覚になり、精度の高い動きができるようになるんですよ。
指導者も、文句のつけようがない完璧なプレイを見せつけられれば、ぐうの音も出ずに練習を終わらせるしかなくなりますからね!
こっそり手を抜く…じゃなくて「省エネ」するプロの技
これは大きな声では言えませんが、ぶっちゃけ、体力が限界なら「上手なサボり方」も覚えるべきです。
あ、誤解しないでくださいね!演奏や演技をサボるわけじゃありません。
「見えない部分で回復する」技術のことです。
例えば、指導者がドラムメジャーや他のセクションに指示を出している数秒間。
この時に、楽器を構えたまま微動だにせず待っていませんか?
指導者の目が自分に向いていないその一瞬、こっそり楽器の重みを分散させたり、足の指を動かして血流を良くしたり、深呼吸をして酸素を取り込んだりするんです。
特に金管楽器の人!
ずっと構えっぱなしは腕が死にますよね。
「あ、今こっち見てないな」というタイミングを見極めて、一瞬だけ筋肉を緩める。
この「数秒のリカバリー」の積み重ねが、無限に続くラスト1回を生き抜くカギになります。
20年やってると、指導者の視線の死角がわかるようになってくるんですよ(笑)
真面目すぎる人は損をします。
要領よく体力を温存し、演奏する瞬間だけ120%を出す。
これが、長くマーチングを続けるための秘訣であり、ベテランの知恵です。
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逆に考えるんだ。「ラスト詐欺」が実は上達のチャンスかもしれない説
ここまで散々「ラスト1回詐欺」への愚痴と対策を書いてきましたが、最後に少しだけ真面目な話をさせてください。
正直なところ、僕が今まで一番成長できた瞬間って、実はこの「理不尽なラストの繰り返し」の中にある気がするんです。
極限状態でのパフォーマンスこそが本番の再現になる
マーチングの本番、特に大会のアリーナやスタジアムって、尋常じゃない緊張感ですよね。
心拍数は上がり、口はカラカラ、足はガクガク。
普段通りの身体操作なんて、まずできません。
で、練習の終わりの「疲れてもう動けない」という状態。
これって、本番の「緊張で身体が思うように動かない状態」とすごく似ているんです。
体力が満タンの時に良い演奏ができるのは当たり前。
でも、ヘトヘトで集中力も切れかけた状態で、それでも正しい歩幅で歩き、正しいピッチで演奏しようと足掻く。
この「極限状態での粘り」こそが、本番のラスト30秒でバテずに吹き切るための本当の力になるんです。
「しんどい!もう無理!」と思ったその先で出した一音。
それが安定していれば、本番でも絶対に失敗しません。
指導者たちは(無意識かもしれませんが)皆をその領域まで引き上げようとしている…のかもしれません。(単にしつこいだけかもしれませんが!笑)
「怒り」をエネルギーに変える!反骨心で成功させる快感
僕の経験上、最高のランスルー(通し練習)ができる時って、メンバー全員がちょっとキレてる時なんですよね(笑)
「もういい加減にしろよ!」「絶対これで終わらせてやる!」
という、指導者に対する「怒り」にも似た感情。
これがバンド全体で共有された時、爆発的なエネルギーが生まれます。
「見返してやる!」という反骨心は、マーチングにおいて強力なガソリンです。
綺麗事や仲良しこよしだけでは出せない、鬼気迫る迫力が音や動きに乗るんです。
もしあなたが今、終わらない練習にイライラしているなら、そのイライラを全部楽器にぶつけてみてください。
きっと、今までで一番パワフルな音が出るはずです。
終わった後の達成感(と愚痴大会)が絆を深める
そして何より、地獄のような「ラスト10回」を乗り越えた後の達成感。
これはもう、何物にも代えがたいですよね。
「やっと終わった…」と楽器を下ろした瞬間、隣のメンバーと顔を見合わせて苦笑いする。
帰りのミーティングや着替えの時に、「今日のあれ、マジでありえなくない?」「先生しつこすぎ!」と愚痴り合う。
この時間が、実は一番楽しかったりしませんか?
同じ理不尽な苦しみを共有した仲間との絆は、一生モノです。
僕も20年前の仲間と飲むと、いまだに当時の厳しい練習の話で盛り上がります。
「ラスト詐欺」は、未来の笑い話のネタを提供してくれている…そう思えば、少しは許せる気になりませんか?(なりませんかね?笑)
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まとめ:それでも僕らがマーチングを辞めない理由
今回は、マーチング界の永遠のテーマ「終わらないラスト1回」について、本音で語らせてもらいました。
ぶっちゃけ、理不尽です。しんどいです。
でも、それでも僕たちがマーチングを続けてしまうのは、その苦しみの先にある「最高の瞬間」を知っているからなんですよね。
全員の音が重なった時の響き。
観客からの割れんばかりの拍手。
そして、仲間と作り上げたという実感。
指導者の「ラスト!」が嘘だとわかっていても、「ちくしょー!」と思いながらも、また楽器を構えてしまう。
そんな皆さんのことを、僕は心から尊敬していますし、大好きです。
もし明日、また「はい、ラストー!」と言われたら。
「出た出た(笑)」と心の中でニヤリと笑って、適度に力を抜きつつ、熱いハートで立ち向かってください。
その1本が、きっとあなたのマーチング人生をより濃いものにしてくれるはずですから。
それでは、次の練習も(ほどほどに)頑張っていきましょう!
水分補給だけは忘れずにね♪
