「カンパニーフロント」で涙が出るのはなぜ?観客を震わせる一列前進の魔力

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はじめに:なぜ私たちは「あの一列」を見ると泣いてしまうのか

マーチングバンドのショーを見ていて、鳥肌が立ったり、気づいたら涙が頬を伝っていたりすること、ありませんか?
特に、ショーのクライマックス。バラバラに動いていたメンバー全員がステージの最前列に横一列に並び、爆音と共に客席に向かって前進してくるあの瞬間……。

そう、「カンパニーフロント」です!

あれ、ズルいですよね(笑)。
どんなに我慢していても、あの「音の壁」と「迫りくる圧」を浴びると、理屈抜きで感情が揺さぶられてしまいます。

今回は、マーチング歴20年以上の私が、この「カンパニーフロント」の魔力について、観客視点とプレイヤー視点の両方から、ぶっちゃけトーク全開で解説します。
これを読めば、次の大会や演奏会でカンパニーフロントが来た瞬間、今まで以上に感動できること間違いなしですよ♪

そもそも「カンパニーフロント」ってどういう意味?

まずは基本の「き」からいきましょう。
マーチング初心者の方や、保護者の方からよく聞かれるのが「カンパニーフロントって、会社の受付のこと?」という質問です(笑)。
いえいえ、全然違います!

軍隊用語がルーツの「部隊一列」

「カンパニー(Company)」には「会社」という意味以外に、軍隊用語で「中隊(ちゅうたい)」という意味があります。
そして「フロント(Front)」は「前線」や「正面」。

つまり、直訳すると「中隊が横一列になって正面を向く隊形」という意味なんです。
昔の戦争映画などで、兵士たちが横にずらーっと並んで行進してくるシーンを見たことありませんか? まさにあれがルーツです。

マーチングバンドにおいては、バッテリー(打楽器)、ブラス(管楽器)、カラーガード(旗)の全員、あるいはセクション全体が、フィールドのサイドライン(横の線)と平行に一列に並ぶことを指します。
30メートル、場合によっては50メートル以上にもなる巨大な人の壁ができるわけです。

マーチングにおける最大の「見せ場(Miseba)」

このカンパニーフロント、ショー構成においては間違いなく「最大の見せ場」として使われます。
多くの場合、ショーのエンディング直前や、曲が一番盛り上がる「プッシュ」のタイミングで登場します。

なぜここが見せ場なのか?
それは、視覚的にも聴覚的にも「最もエネルギーが客席に届く形」だからです。
今までフィールド全体に散らばっていた音が、一列に並ぶことで一点に集中し、文字通り「音の壁(Wall of Sound)」となって観客に襲いかかります。

僕の経験上、カンパニーフロントが決まらないショーは、正直言って「締まらない」です。
逆に言えば、ここさえバチッと決まれば、それまでのミスが帳消しになるくらいのインパクトがあるんですよ(笑)。

実は「ただ並んでいるだけ」じゃないんです

「横に並んで歩くだけでしょ?」と思われがちですが、これ、マーチングの中で一、二を争うほど難しい動きなんです。
ぶっちゃけ、ここを練習するために何十時間費やしているか……想像するだけで胃が痛くなります(笑)。

全員が同じ歩幅、同じタイミング、同じ姿勢で動かないと、綺麗な直線は描けません。
誰か一人が5センチずれただけで、客席からは「あ、あそこ凸凹してる」ってバレバレなんですよね。
シンプルだからこそ、誤魔化しが効かない。それがカンパニーフロントの怖さであり、美しさなんです。

なぜ涙が出る?観客を震わせる3つの魔力

では、本題に入りましょう。
なぜ私たちは、あの一列前進を見るだけで涙してしまうのでしょうか?
20年以上現場にいる僕が分析するに、そこには計算され尽くした3つの「心理的・物理的効果」が隠されています。

1. 「音圧」という物理的な暴力(いい意味で)

まず一つ目は、純粋な音の物理エネルギーです。
マーチングの基本は、音がベル(楽器の朝顔部分)から前方へ飛ぶこと。
普段の隊形では、メンバーが前後に重なっていたり、斜めを向いていたりと、音が多少拡散しています。

しかし、カンパニーフロントでは全員が最前列。
遮るものが何もない状態で、数十人、百人以上の楽器のベルが、すべて自分(観客)の方を向いて全力で吹いているわけです。
これ、物理的に空気が震えるんですよ。

「耳で聴く」というより「体で浴びる」感覚。
この圧倒的な音圧が、脳の理性を吹っ飛ばして、直接感情中枢を揺さぶるんです。
身も蓋もない言い方をすれば、人間はデカくて綺麗な音を浴びると、本能的に感動するようにできているんです!(笑)

2. カオスからの「秩序」への解決

二つ目は、視覚的なストーリー性です。
カンパニーフロントが形成される直前って、わざと複雑な動き(カオス)をしていることが多いんです。
速いテンポで交差したり、回転したり、バラバラに動いていたり……。

観客の目は「わー、すごいけど、どこを見ればいいの?」と少し混乱状態になります。
そこへ、音楽の盛り上がりと共に、スルスルっと全員が一直線に並ぶ。
「バラバラだった個」が「一つの巨大な集合体」になる瞬間です。

この「無秩序(カオス)」から「秩序(オーダー)」への劇的な変化が、見る人に強烈なカタルシス(解放感)を与えます。
「あ、揃った!」という安心感と、「来るぞ来るぞ!」という期待感がピークに達した瞬間に音がドーン!と来る。
そりゃあ、泣きますよ。心理学的に見ても、完璧な展開なんです。

3. 「迫りくる壁」の本能的な恐怖と興奮

三つ目は、人間の本能に訴えかける「接近」の効果です。
カンパニーフロントは、ただ並ぶだけじゃありません。
その巨大な壁が、客席に向かって「前進」してきます。

人間には、巨大なものが自分に向かって迫ってくると、恐怖に近い興奮を覚える本能があります。
映画のスクリーンから飛び出してくるような迫力。
プレイヤーの表情が見える距離まで近づいてくる、その「圧」。

特に、最後の最後で歩幅を大きく広げて(ステップサイズを広げて)加速してくるバンドなんかは最高です。
「私たちを受け止めてくれ!」と言わんばかりのエネルギーの塊が突っ込んでくる。
観客はそのエネルギーに圧倒され、気づけばスタンディングオベーションをしている……というわけです。

【ぶっちゃけ】プレイヤー側から見た「カンパニー」の裏側

さて、ここからは少し視点を変えて、プレイヤー側の本音を語らせてください。
観客席で見ていると「美しい!」「感動!」ですが、フィールドの中にいる私たちにとっては、まさに「戦場」です(笑)。

隣の人を感じろ!「ドレッシング」の極意

カンパニーフロントで一番重要なのは、横のラインを揃えること。
これを専門用語で「ドレス(Dress)」と言います。
「ドレスセンター(中央に合わせろ)!」「ドレスライト(右を見ろ)!」なんて怒号が練習中に飛び交います。

これ、本当に難しいんですよ。
特に端っこのメンバー。
中央の人が1センチずれると、端っこの人はその10倍、20倍の修正を強いられます。
ムチの先端のように振られるんです。

だから、プレイヤーは必死で周辺視野(横目)を使います。
正面を向いて演奏している涼しい顔の下で、目はギョロギョロと左右を確認し、足の歩幅を数ミリ単位で調整しているんです。
「頼むからテンポキープしてくれ!」と心の中で叫びながら歩いています(笑)。

酸欠との戦い!限界突破のロングトーン

カンパニーフロントの時って、だいたい曲のクライマックスなので、楽譜も最高音域(ハイノート)だったり、フォルテシモ(大音量)だったりします。
しかも、足を高く上げて前進しながら。

ぶっちゃけ、死ぬほどキツイです。
肺の中の空気は空っぽ、足は乳酸でパンパン、それでも笑顔で「世界一いい音」を出さなきゃいけない。
この「極限状態」だからこそ出る、火事場の馬鹿力みたいなエネルギーが、観客に伝わっているのかもしれません。

僕も現役時代、カンパニーフロントの最中に意識が飛びそうになったことが何度もあります。
でも、目の前のお客さんが立ち上がって拍手しているのが見えると、不思議と力が湧いてくるんですよね。
あの瞬間の「演奏者と観客が一体になる感覚」は、何物にも代えがたい麻薬のようなものです。

コンテ(設計図)上のマジック

少しマニアックな話をすると、カンパニーフロントを綺麗に見せるために、ドリルデザイナー(動きを作る人)も工夫を凝らしています。
例えば、ただの一列ではなく、少し弧を描くような配置にしたり、楽器の並び順を工夫して音の混ざりを良くしたり。

また、歩幅(ステップサイズ)の指定もシビアです。
マーチングの基本は「5メートルを8歩(5m8歩=62.5cm)」ですが、カンパニーの時はその歩幅を無視して、広い間隔(インターバル)を維持するために大股で歩くこともあります。
これを「オープン・ステップ」なんて言ったりしますが、歩幅が変わる瞬間の体の使い方が、上手いバンドとそうでないバンドの差が出るポイントですね。

まとめ:次回の観戦では「足元」と「表情」にも注目を!

いかがでしたでしょうか?
カンパニーフロントがなぜ私たちの心を震わせるのか、その理由が少し解明できたかと思います。

・物理的な音の壁による衝撃
・カオスから秩序へ整う視覚的快感
・プレイヤーたちの極限状態のエネルギー

これらが合わさった奇跡の瞬間が、カンパニーフロントなんです。

最後に、20年選手の私から、次回の観戦をもっと楽しむためのアドバイスを。
カンパニーフロントが来たら、全体の美しさを見るのはもちろんですが、ぜひ双眼鏡などで「メンバーの表情」「足元の揃い具合」を見てみてください。

必死に横を感じながら、それでも誇らしげに前を見据える彼らの表情。
そして、まるで機械のように美しく揃った足の運び。
その裏にある膨大な練習量とドラマを想像すると、きっと今まで以上に涙が止まらなくなるはずです。

さあ、次のシーズンも、ハンカチ必須で会場へ向かいましょう!
やっぱりマーチングは生で浴びるのが一番ですからね♪

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この記事を書いた人

マーチング歴20年以上のホルン吹きですが、現在はドラム、カラーガードなどもやっています。
高校から楽器を始めた初心者スタートでしたが、全国大会グランプリ受賞まで経験しました。 現在は社会人バンドで活動中。
ブログでは「綺麗な歩き方」や「5m8歩の極意」など、初心者さんがつまづきやすいポイントを解説しています。コンテ作成や練習方法のご相談もお気軽にどうぞ!

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