はじめに:ベースドラムはただの「ドンドン」じゃない!バンドの心臓部へようこそ
こんにちは!マーチングバンドの世界にどっぷり浸かって早20年以上。プレイヤーとしても指導者としても、数え切れないほどのショーを見てきた「頼れる先輩」ブロガーです。
さて、今回はマーチングの花形でありながら、実は一番誤解されやすいパート、「マーチング・ベースドラム(Bass Drum)」について、熱く、そしてねっとりと(笑)語っていきたいと思います。
皆さん、ベースドラムに対してどんなイメージを持っていますか?
「一番大きい太鼓でしょ?」
「リズムに合わせてドンドン叩くだけでしょ?」
「初心者がやるパートだよね?」
ぶっちゃけ、その認識、全部間違いです!(笑)
正直に言います。ベースドラムは、マーチングバンドにおける「心臓」です。心臓が止まったら人間は死にますよね?それと同じで、ベースドラムが崩れると、バッテリー(打楽器隊)はおろか、バンド全体の演奏が崩壊するんです。
しかも、最近のマーチングにおけるベースドラムは、ただリズムを刻むだけじゃありません。「トーナル・ベース(Tonal Bass)」といって、音程の違う太鼓を並べてメロディを奏でる、超絶技巧集団なんですよ。
20年以上の僕の経験的にも、「上手いバンドは例外なくベースドラムが上手い」と断言できます。
今日は、そんな奥深すぎる「低音打楽器」の世界について、建前抜きでズバリ解説していきますね。これを読めば、次の練習からベースドラムを見る目が180度変わること間違いなしです♪
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【誤解1】「簡単そう」は大間違い!実は一番メンタルが削られるパート
まず最初に、一番大きな誤解を解いておきましょう。「ベースドラムは簡単」説についてです。
確かに、スネアドラムのように細かいロールを連発することは少ないかもしれません。でも、ベースドラムにはスネアにはない「地獄」があるんです(笑)。
1人が1音しか担当できない「究極の責任感」
マーチングのベースドラムは、通常4〜5個(あるいはそれ以上)の異なるサイズの太鼓を一列に並べて演奏します。これを「ライン」と呼びます。
ここで重要なのが、「1人がすべての音符を叩くわけではない」という点です。
例えば、「タタタタ」という4分音符のフレーズがあったとします。
スネアなら1人で「タタタタ」と叩きますよね?
でもベースドラムは、1人目が「タ」、2人目が「タ」、3人目が「タ」……というように、1つのフレーズを全員で分担して叩くんです。これを専門用語で「スプリット(Split)」と呼びます。
これ、想像してみてください。
もし自分が担当するたった一発の「タ」が遅れたらどうなると思いますか?
フレーズ全体が「タ…タタタ」とガタガタになり、音楽として成立しなくなるんです。
つまり、あなたの「たった一発」に、フレーズ全体の命運がかかっているんです。
正直、これほどプレッシャーのかかるパートはありません。「自分の番が回ってくる恐怖」と戦いながら、涼しい顔をして叩く。それがベースドラムプレイヤーの凄さなんですよ。
見えない「敵」との戦い:横一列の恐怖
さらにしんどいのが、ベースドラムは「横一列」に並んでいるということです。
スネアやテナーは横に並んでいても、お互いの手元やスティックの動きがなんとなく視界に入ります。
でも、ベースドラムはどうでしょう?
巨大な太鼓を体の正面に抱えていますよね。つまり、隣の人の顔も手元も全く見えない状態で演奏しているんです!
視覚情報が遮断された状態で、音と気配だけでタイミングを合わせる。
これ、もはやテレパシーの世界ですよね?(笑)
僕も現役時代、ベースドラムの代奏に入ったことがありますが、隣の気配を感じ取るのに必死すぎて、終わった頃には脳みそが沸騰しそうでした。見えない相手と呼吸を合わせる「阿吽(あうん)の呼吸」が、このパートには絶対不可欠なんです。
「ユニゾン」が決まった時の快感は麻薬級
散々「しんどい」と言いましたが、もちろん最高な瞬間もあります。
それは、全員で同じリズムを叩く「ユニゾン(Unison)」が決まった瞬間です。
サイズ(口径)の違う太鼓が一斉に鳴ることで、低音から高音までが混ざり合い、まるで巨大な大砲のような「ドーーーン!」という音圧が生まれます。
この音圧は、スネアやテナーでは絶対に出せません。
アリーナやスタジアムの空気を一瞬で震わせ、観客の心臓に直接響くような重低音。
これを体感した時、「あぁ、ベースドラムやってて良かった……!」と全員が思うはずです。
ぶっちゃけ、この快感を知ってしまうと、他のパートには戻れないかもしれませんね♪
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【技術編】ただ叩くだけじゃない!「音色」を作る職人技
次に、技術的なお話をしましょう。「大きい太鼓なんだから、力一杯叩けばいいんでしょ?」と思っているあなた。それは大きな間違いです!
ベースドラムこそ、繊細なタッチとコントロールが求められる「職人」のパートなんですよ。
マレットを「振り抜く」のではなく「響かせる」
初心者がやりがちなのが、マレット(バチ)をヘッド(皮)に叩きつけて、押し込んでしまう叩き方です。
これだと、音が詰まってしまい、「ドッ」という汚い音になってしまいます。
ベースドラムの理想的な音は、太鼓の胴(シェル)全体が共鳴した、深みのある音です。
そのためには、インパクトの瞬間に力を抜き、マレットを素早くヘッドから離す技術が必要になります。
イメージとしては、「熱い鉄板を指で触って『アチッ!』と引っ込める」あの感覚です(笑)。
巨大な太鼓だからこそ、指先の数ミリ単位のコントロールが音色を左右するんです。
20年やってきて思いますが、本当に上手いベースラインは、ppp(ピアニッシモ)の小さな音でも、会場の隅々まで音が飛んでいきます。それは、力ではなく「響き」を作っているからなんですよね。
ミュート(消音)こそが低音の命
ベースドラムの中を覗いたことはありますか?
実は、中にはスポンジ(ミュート材)が貼ってあります。
このミュートの調整が、ベースドラムの命と言っても過言ではありません。
ミュートが少なすぎると「ボワーン」と音が伸びすぎてリズムが聞こえませんし、多すぎると「ベチッ」という段ボールを叩いたような音になってしまいます。
「適度な余韻(サスティーン)を残しつつ、アタック(打撃音)を明確にする」
この絶妙なバランスを見つけるのが、我々インストラクターやセクションリーダーの腕の見せ所です。
湿度や気温、会場の広さによっても響きが変わるので、本番直前までスポンジを足したり引いたり……。
地味ですが、こういう裏側の努力があの迫力あるサウンドを支えているんですよ。
「フェザリング」という隠し味
ちょっとマニアックな話をしますね。
ベースドラムには「フェザリング」というテクニックを使うことがあります(ドラムセットのバスドラム奏法とは少し意味が異なります)。
これは、手や膝を使ってヘッドの振動を微妙にコントロールし、音の長さを調整する技術です。
例えば、スタッカート(短く切る音)の時は、叩いた瞬間に反対側の手でヘッドを押さえて余韻を消したりします。
楽譜には書いていないことも多いですが、上手いプレイヤーは無意識にこれをやってのけます。
「音を出す」だけでなく「音を止める」ことにも神経を使う。
これができて初めて、一人前のベースドラム奏者と言えるでしょう。
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【生存戦略】重さと腰痛との戦い!フィジカル面のリアル
さて、ここからは少し身も蓋もない話をします(笑)。
ベースドラムは、物理的に「重い」です。これは避けて通れない事実です。
視界不良の「カニ歩き」マスターになれ
先ほども言いましたが、ベースドラムを担ぐと足元が全く見えません。
その状態で、前後左右、斜めに動き回るわけです。これを「コンテ(ドリル)」と言います。
特に怖いのが「バック(後ろ歩き)」と「カニ歩き(サイドステップ)」です。
5mを8歩で割るような基本動作ならまだしも、複雑な動きになると、隣の人とぶつかるリスクが常にあります。
ここで大事なのが、「上半身を固定したまま、下半身だけを動かす」という技術。
上半身が揺れると、太鼓も揺れてしまい、マレットが狙った場所に当たりません。
まるで能楽師のように、上半身を微動だにさせず、足だけを滑らかに動かす。
これを習得するには、毎日の地道な歩行練習しかありません。
初心者のうちは、よく太鼓のリム(枠)にマレットをぶつけて「カチッ!」と情けない音を鳴らしてしまいますが、これも通過儀礼です(笑)。めげずに頑張りましょう!
腰は消耗品!ケアを怠るな
ぶっちゃけますが、ベースドラム奏者の最大の敵は「腰痛」です。
一番大きな太鼓(ボトムベース)なんて、軽く10kg以上ありますからね。それを何時間も体の前で支え続けるわけです。
僕の経験上、練習終わりのストレッチをサボるやつから脱落していきます(笑)。
- 練習前後の入念なストレッチ
- 正しい姿勢(猫背にならない!)での演奏
- 筋トレ(特に背筋と腹筋)
これらは、良い演奏をするためというより、「シーズンを生き残るため」に必須です。
「若さでなんとかなる」と思っていると、数年後にガタが来ますよ?(経験者は語る…泣)
自分の体も楽器の一部だと思って、メンテナンスをしっかりしてくださいね。
それでも辞められない「仲間」との絆
重いし、見えないし、責任重大だし、腰は痛い。
「なんでこんなパートやってるの?」って思うかもしれません。
でもね、ベースドラムパートの結束力って、バンド内で一番強いことが多いんです。
「スプリット」を成功させるために、何千回も一緒に練習し、お互いの呼吸を読み合う。
重い楽器を背負って、同じ苦しみを共有する。
そうやって過ごしているうちに、言葉を交わさなくても通じ合える「家族」のような絆が生まれるんです。
ショーが終わった後、ベースライン全員でハイタッチする瞬間の笑顔。
あれを見ると、「あぁ、やっぱりマーチングって最高だな」って心から思います。
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まとめ:ベースドラムはバンドの「魂」そのもの
いかがでしたか?
普段は後ろの方にいて、あまり目立たないかもしれないベースドラム。
でもその内側には、これほどまでに熱いドラマと、繊細な技術、そして強靭な精神力が隠されているんです。
最後に、これからベースドラムを始める人、あるいは今壁にぶつかっている人に伝えたいことがあります。
「あなたのその一音には、バンドを支える価値がある」
たった一発の「ドン」かもしれません。
でも、その一発に魂を込めてください。
あなたの音が、バンドの鼓動(ビート)になり、観客の心を動かす原動力になるんです。
もし練習で辛くなったら、この記事を思い出してください。
20年選手の僕が保証します。ベースドラムは、世界で一番カッコよくて、奥深いパートですよ!
さあ、明日からも胸を張って、最高の低音を響かせていきましょう!
それでは、練習場でお会いしましょう!(笑) ♪
